配信収益が出始めると、「そろそろ開業届を出したほうがいいのでは」と考える配信者は多いはずです。
その際、住所欄に今住んでいる賃貸物件の住所を書いてしまう人も多いでしょう。
- 自宅で配信しているから問題ない
- 在庫も置かないし人の出入りもない
そう考えてそのまま提出してしまうケースも少なくありません。
しかし、賃貸契約の内容次第では、後からトラブルに発展する可能性があります。
この記事では、配信者が開業届に住所を書く際に注意すべき点と、トラブルを避けながら活動を続けるための具体的な対策を解説します。
提出してから困らないために、今の状況を一度確認しておきましょう。
- 賃貸物件の住所で開業届を出すと、契約違反になるリスクがある
- ほとんどの賃貸契約は「事業での利用」が禁止されているため
- 住所の切り分けと同時に配信のやり方も見直す必要がある
- 安全な事業用の住所を確保するにはバーチャルオフィスが最適

開業届を出すときに「住所」が必要な理由
個人で事業を始めたら、原則として1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を税務署に提出する義務があります。
この書類の「納税地」の欄に、事業を行う中心的な場所の住所を記載する必要があります。税金の申告や納税を正しく行うための、国との大切な約束事です。
しかし、この「事業の所在地」として自宅の賃貸住所を記載するということは、その場所が「事業所」であると公的に示すことになります。これが、後述するプライバシーの公開リスクや、賃貸契約の違反問題に直接つながってくるのです。
自宅の賃貸住所は使えるのか?

配信者が開業届を出す際、自宅の賃貸住所を記載すること自体は問題ありません。
実際、自宅を拠点に活動している配信者の多くが、自宅住所で手続きを行っています。
税務上、個人事業主の納税地は原則として「生活の本拠(=自宅)」とされており、自宅で配信や編集作業をしている場合、その実態に合わせて自宅住所を記載するのは一般的です。
開業届は税務署に提出する書類であり、住所が外部に公開されるものでもありません。
賃貸物件の多くは「住居用」として契約されており、契約内容によっては事業利用が制限されている場合があります。
ここで問題になるのは、「音が出るか」「人の出入りがあるか」といった実態よりも、契約上、事業利用が認められているかどうか。
たとえ静かな配信やデスクワークであっても、契約内容次第では注意が必要になるケースがあります。
そのため、自宅住所を使って開業届を出す前に、賃貸契約書に『住居専用』『事務所利用不可』といった記載がないかを確認しておくことが大切です。
結論:開業届に自宅住所を書くこと自体は問題ないが、賃貸契約で事業利用が認められているかの確認は必須
まずは賃貸契約書を確認しよう

自分の住まいが事業利用可能かどうかを判断するために、まずは賃貸契約書を取り出して以下の文言がないかチェックしましょう。
- 「本物件は住居専用とする」
- 「事業、営業活動など住居以外の目的に使用してはならない」
- 「SOHO利用不可」
これらの記載がある場合、開業届にその住所を書くことは契約違反となります。
もし記載が見当たらない場合や、解釈に迷う場合でも、安心はできません。
必ず管理会社または大家さんに直接相談し、事業利用の許可を得るようにしてください。
勝手に開業届に書いたらどうなる?

配信者の場合、「在庫を置くわけでもないし、人の出入りもない」「自宅の一室で静かに配信しているだけ」という理由から、賃貸の自宅住所をそのまま開業届に書いてしまうケースがあります。
開業届は税務署に提出する書類で、提出しただけで住所が公開されることはありません。
そのため、「書いたこと自体は分からないのでは」と考えがちです。
ただし、後から事業利用が伝わる可能性はあります。
たとえば配信活動では、
- 税務署から屋号付きで郵便物が届く
- 銀行口座や請求書に屋号や事業名を使う
- ファンからのプレゼント送付先として住所を使う
といった場面が増えていきます。
さらに配信では、
- 大きな声を出す
- 夜間や長時間の配信になる
- ゲーム配信などで動きが大きくなり、物音が出る
といったことも珍しくありません。
こうした音や生活リズムの違いがきっかけで、近隣トラブルから事業利用が表に出るケースもあります。
また、個人配信者から法人化した場合は注意が必要です。
法人になると、登記簿に記載された住所が公開情報となるため、賃貸物件の事業利用が外部から分かりやすくなります。
そのため、賃貸契約で事業利用が認められていない状態で、配信活動の拠点として自宅住所を使い続けるのは注意が必要です。
自宅住所の使用に不安がある場合は、配信活動とは切り離して事業用の住所を用意する方法として、バーチャルオフィスを利用する配信者もいます。
- 郵便物や屋号表記でバレる可能性あり
- 配信の声や物音による近隣からの苦情でバレる可能性あり
- 法人化すると住所が公開され発覚しやすい
- 大家には、建築基準法違反や税制上の不利益などのリスクがある
- 無断利用が発覚すれば、是正・退去を求められるケースも
- 不安があればバーチャルオフィスの利用が安全

自宅が事業用NGだった場合どうすればいい?

自宅が事業用NGと分かった場合、そのまま無理に配信を続けるのではなく、対策を取る必要があります。
配信者が実際に選んでいる対応は、主に次の3つです。
事業用の住所を切り分ける
まず多いのが、
配信とは切り離して、事業用の住所だけを別に用意する方法です。
バーチャルオフィスを使えば、
- 開業届や書類に自宅住所を書かずに済む
- 郵便物の受取先を自宅以外にできる
- 活動名(屋号)宛てで郵便物を受け取れる
- 名刺や請求書に使う住所を分けられる
といった対応が可能になります。
配信のやり方を見直す
自宅で配信を続ける場合は、
まず防音対策を徹底することが前提になります。
具体的には、
- 簡易的な防音室を導入する(※)
- 壁やドアに吸音材・遮音材を貼り、音漏れを抑える
これに加えて、配信の運用も可能な範囲で見直しましょう。
- 声量を抑えた配信を意識する
- 深夜帯の配信を避ける
- 絶叫や物音が出やすい企画を控える
音に関するトラブルは、一度起きると管理会社や大家さんが関与することが多く、後から調整するのが難しくなるケースもあります。
そのため、配信スタイル自体を見直す対応が必要になります。
配信前提の物件へ引っ越す
配信を長く続ける予定がある場合、住まい自体を配信前提で選び直す配信者も多いです。
具体的には、
- 「楽器可」と明記された物件
- 防音性を重視した物件
- SOHO可・事業利用可の物件
こうした条件の住まいであれば、配信活動そのものが原因でトラブルになる可能性は下がります。
最近では、配信者やクリエイター向けの物件を扱う不動産会社もあり、防音性能や配信利用を前提とした条件で物件を紹介しているケースもあります。
自分で一から探すのが難しい場合は、こうした不動産会社を利用することで、配信に適した住環境を見つけやすくなることもあります。
バーチャルオフィスとは?

バーチャルオフィスとは、物理的なオフィススペースを持たずに、事業運営に必要な住所、電話番号などをレンタルできるサービスのことです。
月額料金は数百円から数千円程度と非常に安価で、以下のようなメリットがあります。
- 開業届や法人登記に使える住所を確保できる
- 自宅住所を公開せず、プライバシーを守れる
- 都心の一等地の住所で、事業の信頼性を高められる
- 届いた郵便物を指定の場所に転送してくれる
- ネットショップで必要な特定商取引法の住所表記にも対応
オプションで、電話転送サービスや貸し会議室の利用ができる場合もあり、事業の成長に合わせて柔軟に活用できるのが大きな魅力です。


開業届に書く住所、住民票と違っても大丈夫?

結論として、開業届に記載する「納税地」の住所と、住民票の住所が異なっていても全く問題ありません。
税務署が求めているのは、実際に事業活動の中心となっている場所の情報だからです。バーチャルオフィスを事業の拠点として契約していれば、その住所を記載するのが正しい手続きとなります。
ただし、住民税や社会保険に関する通知などは、お住まいの自治体から住民票の住所に送られてきます。
公的な書類の受け取り場所を混同しないようにだけ注意しましょう。
事業用の住所と住居を分けることで、プライバシーを守り、事業の信頼性を高めることができるのです。
開業届の住所は公開されるの?

税務署に提出した開業届の情報が、本人の同意なく外部に公開されることはありません。
ただし、以下のようなケースでは、事業用の住所を公開する必要が出てきます。
- Webサイトで商品やサービスを販売する場合(特定商取引法に基づく表記)
- インボイス制度に登録する場合(登録番号から本店所在地が検索可能)
- 法人化した場合(登記情報として公開される)
事業を運営していく上で、住所の公開が避けられない場面は必ず出てきます。その時に公開するのが自宅の住所では、防犯上のリスクやプライバシーの問題がつきまといます。
だからこそ、初めから公開しても問題ないバーチャルオフィスの住所を用意しておくことが賢明な選択と言えるのです。
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まとめ

今回は、開業届に賃貸物件の住所を書くことのリスクと、その解決策について解説しました。
事業のスタートでつまずかないために、以下のことを理解しておきましょう。
- 賃貸物件の契約内容を必ず確認する
- 判断に迷ったら、大家さんや管理会社に相談する
- 許可が下りない、またはプライバシーが不安なら、バーチャルオフィスでリスクを回避する
無用なトラブルを避け、安心してビジネスに集中できる環境を整えるために、ぜひバーチャルオフィスの活用を検討してみてください。




